医学部定員増の動きがあるとは言っても、依然として高い難易度により、激しい競争に晒されている医学部入試。どんなに難易度が高くても、どうしても医学部医学科への合格を目指すという受験生が多いのは事実です。そんな時大切なのは、戦略と戦術を明確にし、効果のあがる勉強法によって、医学部への合格をいかに確実にするかという発想です。
1930年の設立当初から、医学部への高い実績を誇ってきた壺溪塾。熊本県で活躍なさっている医師の中には、壺溪塾卒業生が多くおられ、壺溪塾でのインカレッジ講座を行なう際にも、気軽に講師として来塾されています。中には、祖父母、父母、子の三代に亘って壺溪塾卒業生という場合もあり、折に触れ、壺溪塾を応援していただけるのも、塾生にとっては心強い限りです。
そんな壺溪塾の高卒生コースにおいて、医学部への合格を確実にする方法として提案しているのが、毎朝ホームルームで実施している基本テストの徹底復習です。たとえば、2007年のセンター試験で壺溪塾塾生の中で最高点の872点/900点をマークしたY君は、センター試験向けの勉強を特別に行なったわけではなく、壺溪塾の基本テストを大切にし、毎日徹底的に復習したと言います。医学部医学科合格の一つの条件は、センター試験で9割を超える得点を上げることです。基礎基本を疎かにせず真の実力をつけた人だけが、高得点を得ることができるのです。現役生コースの高校ジャンプコース生に対しては、限られた時間の中で、なるべく塾にいる時間を多くとり、効率よく集中力を発揮した勉強法をとること、苦手科目をなくすことなどの提案をしています。また、一次試験にセンター試験を取り入れている私立大医学部もありますので、センター試験で9割以上の得点を上げることは、私立大医学部への合格を確実にするためにも有利です。私立大の場合、独特の入試問題を課す大学が多く、対策が立てにくいのが事実ですが、センター試験対策であれば、取り組みやすく、例えば、センター試験の国語では、現代文だけを課す私立大医学部もあるなど、科目を選んでの対策が立てやすいのです。
戦略と戦術については、以下の方法があります。まず、大きな戦略として挙げられるのは、相手を知ることと自分を知ることです。相手、つまり自分の受験する大学をしっかりと研究することです。その大学はどのような特長を持っていて、そこでどのような勉強ができるのかを調べます。そうすると、どうしてもそこに行きたいという気持ちも高まり、そのことが合格の可能性も高めます。また、その大学は、どのような資質を持った受験生を求めているのかを調べなければなりません。もちろん、どの大学であっても、もっとも求められるのは学力であるのは言うまでもありません。しかし、小論文を課したり、面接を課したりする大学の場合は、過去の小論文の傾向や面接で聴かれる項目等を調べ、求められている書く力や社会性、コミュニケーション能力など多面的な力をつける努力をしなければなりません。それから、自分を知ることです。つまり、自分の今の学力を初めとした多面的な力を認識する必要があります。それから、具体的な戦術については、次の事項が挙げられます。まずは、自分の第一志望校を明確化し、その志望校の配点を頭に叩き込んだ上で合格者最低点、最高点を調べ、その得点を意識しながらどのような勉強をしていけばよいか、作戦を立てるということです。次に過去問を解くことです。2次試験は難しいから、もう少し実力がついてから解こうというのではなく、早い段階で解いておく必要があります。何を求められているのかを具体的に知り、それを意識した勉強をしなければなりません。
医学部医学科から出題される小論文は、多岐に亘ります。英文を読んだ上で、質問に答えたり、意見を述べたりするもの(秋田大医推薦、筑波大医推薦、熊大医後期、産業医科大推薦、福大医推薦等)、社会性や論理性などが試される文系的な小論文(慶應大医、日本医科大医、藤田保健衛生大医、近畿大医、兵庫医科大医、川崎医科大医、産業医科大医、久留米大医等)など様々です。
壺溪塾では、大学受験科高卒生コースと高校生コースにおいて、医系の小論文を専門に担当する講師がおり、理系小論文として1週間に1回(70分)の授業が行われています。塾生は、授業の中で実際に問題に取り組み、書いたものを講師が添削して返す、あるいは個人指導するという形のカリキュラムとなっています。ここでは、もっとも多い出題形式である、医師を目指す者としての意識を問う問題にどう取り組むかを解説しましょう。
生徒解答例
医師という名詞の意味を簡潔に述べると病気を患うものを治療する者となる。これは技術を身につけることでしかないが、現代の医師にはそれだけでは足りない。私は過去の医療に詳しい訳ではないが、推測するに医師とは死から救ってくれる神のような崇められる存在であったと思う。しかし、患者様から見て良い医師とは技術は必須条件で言うまでもなく、モラルや人情も持ち合わせた者のことである。決して医師は神ではなく、人間であるからだ。私の理想は人間としての医師です。どんなに年月を経て経験を積んでも奢ることなくありたいです。私は理想に近づくために、6年間を振り返った時、貴重な歳月だったと言えるようにしたいです。教養はもちろんのこと、これから新期となる医学をしっかりと学んで技術を身につけ、患者様とのふれあいを大切にします。臨床の機会こそ最も医師の人間性やモラルを向上しうる場であると思うからです。私は一般の受験生とは違い、社会に出て様々な仕事をしてきた経験があるので、絶対にこれを医師という立場で活かします。モラルとはそれぞれの分野に存在しますが、根底にある規範は共通のものであると考えます。私が活かしたい経験こそモラルです。大学で知り合うであろう友人とのつきあい方にしてもモラルがなければ良い友人はできません。患者様に限らず大学の内外でこれから6年間に出会う人達との接点でも活かせるものを見つけて学んでいきたいです。
解説
生徒解答例では、まず、語尾が統一されていない点を改めましょう。小論文では、語尾は「だ、である」調に統一します。また、「思う」という表現はなるべく避けた方が歯切れの良い文章になります。自分の「思い」というよりも「考え」を述べるのが小論文です。どうしても書きたければ「考える」という表現の方が適切です。また、内容については、生徒解答例に述べられている医師のモラルや人情を重視したいとする立場は、共感を呼ぶものであり、このような出題の趣旨(医師にふさわしい他者への思いやりや誠実さがあるかを見る)への理解を感じさせます。ただ、やや感情的な筆致となっている点は、マイナスの印象を与えます。あくまで小論文とは、「自己の意見」を述べるものです。文中で使われている「絶対に」などという表現は小論文にはふさわしくありません。全体の構成を意識して書くことも大切です。解答例では、段落を取ってありませんが、600字の場合、2段階から3段階で書いた方が見やすいのです。それでは、生徒解答例を元に、書き直した解答例を例示しておきます。
書き直し生徒解答例
医療にはキュアとケアが大切だと言われる。これは、医師には病気を治療する役割と心まで含めてケアする役割があるということに他ならない。私の理想とする医師像は、その両方の役割を果たせる医師である。それには専門知識に裏付けられた高い技術力と幅広い教養を身につけることが必要だ。
医療が高度に発達する以前には、医師とは死から救ってくれる神のような崇められる存在であった。しかし、現代においては、医師は神ではなく、弱点のある人間だ。それだけに人間として高い倫理観や細やかで温かい人情を持てるよう怒力していくことが重要になる。どんなに年月を経て経験を積んでも、奢ることなくありたい。
それには、まずは大学6年間をとおして勉学へ集中することと、人間的な幅を広げる努力との双方を自らに課したい。さらに6年間で出会う人たちと触れ合う中で、コミュニケーション能力を身につけたい。医師は患者さんだけでなく、沢山のスタッフに囲まれて過ごす。看護師、検査技師、薬剤師等立場の異なる方々とのチームワークを大切にできる医師となるためにも、技術力だけでなく人間力についても研鑽する日々でありたい。

